これもペット話ですが一つ。
昨年お盆にお墓参りに行ったときのこと、近くのお墓(もちろん知らないお家のお墓)に住職さんと初老の夫婦が連れだってやって来ました。
私の住む地方にはお盆になるとお墓に紙で出来た灯籠を立てる風習があって、
初盆の故人が入っている墓はその灯籠の色が白と決まっているため、
ここ一年で亡くなった方のお墓なんだなと見れば分かります。

どうも夫婦が住職さんに読経をお願いしたらしく、3人はお墓の前に並びました。
本当ならじろじろ見るのは失礼だと分かっていたのですが、
奥さんが抱いている猫があんまり可愛くてついついそちらを見ていました。
ほっそりスタイルの良い、毛並みも綺麗な虎猫でした。
やがて奥さんの方が手を合わせるために猫を下ろしました。
見ていた私は猫が逃げたら捕まえてあげようと、本当は猫に触りたかったこともあってまだそちらを見ていました。

猫は下ろされた位置に座ってじっとお墓を見ていましたが、やがて読経が始まると
なんと頭を少し垂れてきちんと聞き入っている風じゃありませんか。
5分ほどの間ではありましたが、にゃあとも言わず、身じろぎ一つしないで。
私は驚いたのとその仕草が神妙で可愛かったのとで、側に居た母に
「見て、猫がお経聞きようるよ」と笑いながら言い、母も微笑みながら見ていました。

やがて読経が終わって、住職さんが帰っていき、残された夫婦は墓の前で
何やら立ち話をしていました。奥さんが猫を抱き上げて顔をこちらに向けた
時、ふと目があってしまったので「こんにちは、可愛い猫ですね」と声を掛けると
「おじいちゃんが可愛がっとったから、連れて来てみたんです」とのお返事でした。
もう年寄り猫だからすぐに本当に会えるかもしれんけどと言われて何だか泣けました。